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第2話 日常から非日常へ

last update publish date: 2025-12-12 11:17:11

10年後、人々は悲劇の国キュアリーハートをこう呼んだ。

赤い地獄(レッドヘル)と。

今では化け物が住処としているらしく人間の立ち入りを禁止した。

化け物は人間の心臓と目が好きらしくそれを取って食べるので人は化け物の事をまるで悪魔のようだと言う。

そして人間の心臓を求めて他の国へ移動する悪魔もいる。

しかしこの世にはそんな悪魔に対抗する力があり、それを人々はこう呼んだ。

ー悪魔祓い(デビルブレイカー)と。

「ねぇ、聞いた?隣の国でまた悪魔の被害があったらしいわよ?」

「またなの?もう何度目なの?」

「ほんと、いい加減やめてほしいよねー。どうせ悪魔なんて噂話でしょ?」

学校帰りの女子高生たち。

ここはあのレッドヘルからかなり東の方に離れた静かな町(クレーアタウン)。

他の国に比べて悪魔の被害が全くなく穏やかな田舎町である。

この町の人々は悪魔の被害にあわないせいか悪魔なんて噂話、犯罪者が増えただけだ。っというのがこの町の人たちの本音だった。

「ねぇ?そう思うでしょ、ミーナ?」

「え?あたし?」

友達の1人がいきなりミーナと呼ばれた大人しそうな女の子に聞いてみた。

しかし、

「あたしは…いると思うかな、悪魔?」

ミーナと呼ばれた女の子だけは他の子とは違う答えが出たのでその友達は反発した。

「はあ?なんでいると思うの?」

「え、なんでって言われても…その…だってさ、よくちっちゃい頃よく絵本で読んでもらってなかった?悪いことすると悪魔になるとか、あと夜に子供だけで遊んでたら悪魔に…」

「あははははは!!」

ミーナの子供のような発言に他の友達は大声で笑った。

「全くミーナは可愛いわね!そんなの大人が考えたおとぎ話に決まってるじゃん!」

「ほんと!そのあと王子様が悪い悪魔を正しい心でやっつけましたとさっ、ってやつでしょ?ちょーウケる終わり方じゃん!」

「やっぱミーナは面白いわ」

「でも悪魔は実際に…」

「はいはい、ミーナもういいよ。あー面白かった。ミーナのおかげで気分も良くなったしこれから遊びに行かない?」

「おお、いいねぇ。行こ行こ!」

「ミーナも行こ!」

「え、あ、うん!」

(悪魔は本当にいると思うんだけどなー。)

ミーナの悪魔話によって気分が良くなりワイワイ騒ぎながらその場を去った。

「……………ふん。バカな女め。」

ミーナの友達が遊ぼうと言ってからかれこれ2時間。彼女達はというと今流行りのいうと(マジックファンタジー)と呼ばれたゲームで遊んでいた。

マジックファンタジーというのは魔法の箒を使って飛び、魔法で作られた異次元空間に飛んでるプログラムの敵を魔法の銃で撃ち落とすという現代のバ○オハ○○ドの様なものであった。

この世界の学生達にとても人気でミーナ達もこれにすごくハマっていた。

「ねえ、もう帰ろうよ。」

箒に乗ってるミーナが言った。

「えー、今良いとこなのに。」

「だって早く帰らないと親に怒られるしそれに夜は…」

「また悪魔でしょ?はいはい。みんな帰ろっか。」

そういうとその友達は箒から降りるとさっきまで飛んでた異次元空間からゲームセンターのようなところに戻った。

「はい、お疲れ様です!またのご利用お願いしますー。」

「じゃ、帰るとしますか!」

ミーナ達はすっかり暗くなった夜道を歩いて帰ろうとした。

店を出てからの帰り道は普段は明るくても夜になれば真っ暗にでほとんど前が見えない状態だった。

ミーナは怖がりなので隣の友達の腕を掴みながら横を歩いていた。

「ちょっとミーナ。くっつきすぎたら歩きにくいよ。」

「だってここ夜になると怖いんだもん。」

「相変わらずねミーナの怖がりは。」

「ねえねえ。今度ここでさ肝試ししない?」

「それいーね!ミーナ先頭でやろ!」

「む、無理無理無理無理無理~!ー!!!」

「あははは。」

夜の怖い道も友達といればこの時までは楽しく思えた。

そう、この時までは。

歩いて行くとその先には分かれ道がありさっきよりは少し明るめの場所がある。

そこまで行くと左の道から黒いスーツを来た男性が歩いてきて急に立ち止まってミーナ達を見つめていた。

「あれ、あの人誰だろう?」

「さあ?てかなんでこっち見てるんだろ?」

「まああんな人私らに関係ないし帰ろ。」

そういって男性の目線を無視して歩こうとした。

グチャッ

ミーナの横で何か嫌な音が響いた。

「…え?」

男の手は友達の胸を貫き、友達はその場に倒れてしまった。

しかも男の手には何か赤黒い物体を持っていてそれが心臓といち早く気づいたのはミーナだった。

「あ、悪魔……」

「きゃぁぁぁぁああ!!」

他の2人の友達とミーナは大声を出して全速力でその場から走って逃げようとした。

しかし、全速力で逃げようとしても所詮はまだ子供の女の子。

男性の姿をした悪魔は逃げる友達に一瞬で追いつき首元を掴んだ。

「いや…やめて~!!」

そしてその友達の胸を貫き、さっきの友達の心臓と二つまとめて食べた。

「ジュル…ジュルジュルルル…」

心臓を食べる悪魔の姿を見て腰を抜かした友達はその場にへたり込んでしまい、地面を這いつくばりながら逃げようとした。

「ひっ…ひっ…ひっ…ひっ…」

這いつくばってるところを悪魔は手でガシッと足を掴んで自分のところまで引きずった。

「助けて!ミーナ……」

カブッ!ガブガブッ!

残されたミーナは友達の変わり果てた姿と今食べられてる友達を見て恐怖で震えていたが今がチャンスと思い走って逃げた。

「ハァ…ハァ……嫌だ、嫌だ!食べられるなんて嫌だ!」

この町では親は子供にこう言った。

「悪い子は悪魔に心臓食べられるぞ。」っと

もちろん子供の躾の為に使っているだけで大人でさえ悪魔が本当に実在するとは思っていない。

ミーナは走って逃げるがさっきの場所とは違い道が暗くてミーナ自身何処を走っているか分からなくなった。

そして行き着いた場所は誰も使ってない昼間子供が遊ぶような空き地だった。

ここの空き地は誰の土地でもなくそれほど広くもないので誰もこの土地を買おうとせず殆どは近所のゴミ捨て場になっていた。

そのゴミ捨て場の中に倉庫が捨てられていていたのでミーナはその中に隠れた。

「ハァ、ハァ、…うぅ、みんな死んでしまった…本当に悪魔がいるなんて…」

ミーナは倉庫の中で落ち着きを取り戻したが殺された友達の姿が脳内にあらわれ、涙を流す。

「うぅ、お母さん。お父さん。…助けて…」

ガシャァン!!

「きゃっ!」

倉庫の隅っこで泣いているとミーナの横から獣のような手が倉庫の扉を貫き、無理やりその扉を外した。

「グルルルルル…」

「ひっ……」

「グルルル…人間…心臓…目…食わせ…ろ…」

悪魔はさっきと違い人間の男性の姿ではなく黒い狼のような化け物になっていた。

ミーナはその姿を見て泣いてるため呼吸ができず喋ることができなかった。

悪魔は爪でミーナを突き刺そうとしたがミーナは危機一髪その爪から逃れた。

そして爪の威力が強すぎたため倉庫に逃げ道が出来て、ミーナはそこから脱出した。

「逃るな…心臓…食ワセロ!」

「きゃぁぁぁ!」

悪魔は爪を伸ばしミーナを切り裂こうとした。

カキィィィン!!

ミーナの目の前で剣が当たる音かした。

悪魔の爪はミーナの目の前で謎の黒いローブを纏った人が異様に大きい大剣でそれを防いでいた。

「何してんだ、夜遅くに女襲って楽しいか?」

「誰だ…その剣を…どけろ…」

悪魔は途切れ途切れの言葉で言うと腕に力を入れ爪で大剣を押し付けた。

ローブの男は押し付けてくるのを感じ大剣を上に挙げ、悪魔を吹き飛ばした。

「うっ…」

「俺に力で勝てると思うなよ、このクソ悪魔。お前らの様に人間を天敵とするやつがいれば…」

ローブの男が言い終わる前に悪魔は爪を立てていきなり襲ってきた。

グシャァ!!

「俺の様に、悪魔を天敵とするやつもいるんだよ。」

ローブの男は一瞬でも動揺することなく悪魔の首を大剣で斬りとばす。

悪魔は首を飛ばされ、身体は地面に倒れていく。

そしてローブの男は悪魔の胸を貫くと中から黒い物体を取り出しそれを食べた。

「ひぃぃ!」

「安心しろ、俺は悪魔じゃねえ。」

そう言ってローブの男は黒い物体を食べ続けた。

(な、なんなの…この人?あの恐ろしい悪魔をたった一瞬で)

「あの、…すみませんが…」

「何だ?」

「えっと…助けてくださって…ありがとうございました。」

「別に助けた覚えはねえ。これは俺の食事だからな。」

「そうだ、俺の主食は悪魔の心臓だからな。あと人間の心臓と。」

「ひぃっ!」

「大丈夫だ。俺は人間の心臓は食わない主義だ。」

そう言って彼は黒い物体を食べ終わると口の周りを舐めてその場を立ち去ろうとした。

「…あの、待ってください。その、私を家まで送って下さい!そこを真っ直ぐ行くだけでいいのでお願いします!」

「…俺の行き先もこっちだ。好きにしろ。」

ミーナはローブの男について行くことにしすっかり暗くなった道を2人で歩いた。

ローブの男はミーナと歩いてる間喋ることはなく常に無表情だった。

「うぅ…シェスカ…エミー…イルミ…」

「……」

ミーナは殺された友達を思い返し涙を拭きながら歩いていたが男は振り返りもせず黙々と歩く。

他人の感情など自分には関係ないといった感じだった。

しばらく歩いてるとようやくミーナの家に着いた。

「…着いたぞ。」

「あり…がど…ござ…い…ます…」

「いつまで泣いてる。…友達のことは忘れた方がいい。辛いだけだ。」

「忘れられる訳ないでしょ!」

ミーナは男の心無い返しに大声でいった。

「あなたさっきから何なの!?悪魔の心臓食べたり、私が悲しくて泣いても声ひとつかけない。おまけに殺された友達を忘れた方がいいですって?ふざけないでよ!あなたに何が分かるのよ!」

「どーしたのミーナ。夜中に大声出して。」

ミーナの大声で玄関から母親の声が聞こえてきて、はっと我にかえるミーナ。

「…そーだよな。人間は普通、簡単に人のこと忘れられる訳ないよな。悪かった…」

そう言い残し男は左手を前に出すと目の前の空間が広がり、彼はその中に入って姿を消した。

「魔法…使い…?…初めて見た。…だめ…なんか急に頭が…」

ミーナはそのまま意識を失ってしまった。

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