LOGIN10年後、人々は悲劇の国キュアリーハートをこう呼んだ。
赤い地獄(レッドヘル)と。 今では化け物が住処としているらしく人間の立ち入りを禁止した。 化け物は人間の心臓と目が好きらしくそれを取って食べるので人は化け物の事をまるで悪魔のようだと言う。 そして人間の心臓を求めて他の国へ移動する悪魔もいる。 しかしこの世にはそんな悪魔に対抗する力があり、それを人々はこう呼んだ。 ー悪魔祓い(デビルブレイカー)と。 「ねぇ、聞いた?隣の国でまた悪魔の被害があったらしいわよ?」 「またなの?もう何度目なの?」 「ほんと、いい加減やめてほしいよねー。どうせ悪魔なんて噂話でしょ?」 学校帰りの女子高生たち。 ここはあのレッドヘルからかなり東の方に離れた静かな町(クレーアタウン)。 他の国に比べて悪魔の被害が全くなく穏やかな田舎町である。 この町の人々は悪魔の被害にあわないせいか悪魔なんて噂話、犯罪者が増えただけだ。っというのがこの町の人たちの本音だった。 「ねぇ?そう思うでしょ、ミーナ?」 「え?あたし?」 友達の1人がいきなりミーナと呼ばれた大人しそうな女の子に聞いてみた。 しかし、 「あたしは…いると思うかな、悪魔?」 ミーナと呼ばれた女の子だけは他の子とは違う答えが出たのでその友達は反発した。 「はあ?なんでいると思うの?」 「え、なんでって言われても…その…だってさ、よくちっちゃい頃よく絵本で読んでもらってなかった?悪いことすると悪魔になるとか、あと夜に子供だけで遊んでたら悪魔に…」 「あははははは!!」 ミーナの子供のような発言に他の友達は大声で笑った。 「全くミーナは可愛いわね!そんなの大人が考えたおとぎ話に決まってるじゃん!」 「ほんと!そのあと王子様が悪い悪魔を正しい心でやっつけましたとさっ、ってやつでしょ?ちょーウケる終わり方じゃん!」 「やっぱミーナは面白いわ」 「でも悪魔は実際に…」 「はいはい、ミーナもういいよ。あー面白かった。ミーナのおかげで気分も良くなったしこれから遊びに行かない?」 「おお、いいねぇ。行こ行こ!」 「ミーナも行こ!」 「え、あ、うん!」 (悪魔は本当にいると思うんだけどなー。) ミーナの悪魔話によって気分が良くなりワイワイ騒ぎながらその場を去った。 「……………ふん。バカな女め。」 ミーナの友達が遊ぼうと言ってからかれこれ2時間。彼女達はというと今流行りのいうと(マジックファンタジー)と呼ばれたゲームで遊んでいた。 マジックファンタジーというのは魔法の箒を使って飛び、魔法で作られた異次元空間に飛んでるプログラムの敵を魔法の銃で撃ち落とすという現代のバ○オハ○○ドの様なものであった。 この世界の学生達にとても人気でミーナ達もこれにすごくハマっていた。 「ねえ、もう帰ろうよ。」 箒に乗ってるミーナが言った。 「えー、今良いとこなのに。」 「だって早く帰らないと親に怒られるしそれに夜は…」 「また悪魔でしょ?はいはい。みんな帰ろっか。」 そういうとその友達は箒から降りるとさっきまで飛んでた異次元空間からゲームセンターのようなところに戻った。 「はい、お疲れ様です!またのご利用お願いしますー。」 「じゃ、帰るとしますか!」 ミーナ達はすっかり暗くなった夜道を歩いて帰ろうとした。 店を出てからの帰り道は普段は明るくても夜になれば真っ暗にでほとんど前が見えない状態だった。 ミーナは怖がりなので隣の友達の腕を掴みながら横を歩いていた。 「ちょっとミーナ。くっつきすぎたら歩きにくいよ。」 「だってここ夜になると怖いんだもん。」 「相変わらずねミーナの怖がりは。」 「ねえねえ。今度ここでさ肝試ししない?」 「それいーね!ミーナ先頭でやろ!」 「む、無理無理無理無理無理~!ー!!!」 「あははは。」 夜の怖い道も友達といればこの時までは楽しく思えた。 そう、この時までは。 歩いて行くとその先には分かれ道がありさっきよりは少し明るめの場所がある。 そこまで行くと左の道から黒いスーツを来た男性が歩いてきて急に立ち止まってミーナ達を見つめていた。 「あれ、あの人誰だろう?」 「さあ?てかなんでこっち見てるんだろ?」 「まああんな人私らに関係ないし帰ろ。」 そういって男性の目線を無視して歩こうとした。 グチャッ ミーナの横で何か嫌な音が響いた。 「…え?」 男の手は友達の胸を貫き、友達はその場に倒れてしまった。 しかも男の手には何か赤黒い物体を持っていてそれが心臓といち早く気づいたのはミーナだった。 「あ、悪魔……」 「きゃぁぁぁぁああ!!」 他の2人の友達とミーナは大声を出して全速力でその場から走って逃げようとした。 しかし、全速力で逃げようとしても所詮はまだ子供の女の子。 男性の姿をした悪魔は逃げる友達に一瞬で追いつき首元を掴んだ。 「いや…やめて~!!」 そしてその友達の胸を貫き、さっきの友達の心臓と二つまとめて食べた。 「ジュル…ジュルジュルルル…」 心臓を食べる悪魔の姿を見て腰を抜かした友達はその場にへたり込んでしまい、地面を這いつくばりながら逃げようとした。 「ひっ…ひっ…ひっ…ひっ…」 這いつくばってるところを悪魔は手でガシッと足を掴んで自分のところまで引きずった。 「助けて!ミーナ……」 カブッ!ガブガブッ! 残されたミーナは友達の変わり果てた姿と今食べられてる友達を見て恐怖で震えていたが今がチャンスと思い走って逃げた。 「ハァ…ハァ……嫌だ、嫌だ!食べられるなんて嫌だ!」 この町では親は子供にこう言った。 「悪い子は悪魔に心臓食べられるぞ。」っと もちろん子供の躾の為に使っているだけで大人でさえ悪魔が本当に実在するとは思っていない。 ミーナは走って逃げるがさっきの場所とは違い道が暗くてミーナ自身何処を走っているか分からなくなった。 そして行き着いた場所は誰も使ってない昼間子供が遊ぶような空き地だった。 ここの空き地は誰の土地でもなくそれほど広くもないので誰もこの土地を買おうとせず殆どは近所のゴミ捨て場になっていた。 そのゴミ捨て場の中に倉庫が捨てられていていたのでミーナはその中に隠れた。 「ハァ、ハァ、…うぅ、みんな死んでしまった…本当に悪魔がいるなんて…」 ミーナは倉庫の中で落ち着きを取り戻したが殺された友達の姿が脳内にあらわれ、涙を流す。 「うぅ、お母さん。お父さん。…助けて…」 ガシャァン!! 「きゃっ!」 倉庫の隅っこで泣いているとミーナの横から獣のような手が倉庫の扉を貫き、無理やりその扉を外した。 「グルルルルル…」 「ひっ……」 「グルルル…人間…心臓…目…食わせ…ろ…」 悪魔はさっきと違い人間の男性の姿ではなく黒い狼のような化け物になっていた。 ミーナはその姿を見て泣いてるため呼吸ができず喋ることができなかった。 悪魔は爪でミーナを突き刺そうとしたがミーナは危機一髪その爪から逃れた。 そして爪の威力が強すぎたため倉庫に逃げ道が出来て、ミーナはそこから脱出した。 「逃るな…心臓…食ワセロ!」 「きゃぁぁぁ!」 悪魔は爪を伸ばしミーナを切り裂こうとした。 カキィィィン!! ミーナの目の前で剣が当たる音かした。 悪魔の爪はミーナの目の前で謎の黒いローブを纏った人が異様に大きい大剣でそれを防いでいた。 「何してんだ、夜遅くに女襲って楽しいか?」 「誰だ…その剣を…どけろ…」 悪魔は途切れ途切れの言葉で言うと腕に力を入れ爪で大剣を押し付けた。 ローブの男は押し付けてくるのを感じ大剣を上に挙げ、悪魔を吹き飛ばした。 「うっ…」 「俺に力で勝てると思うなよ、このクソ悪魔。お前らの様に人間を天敵とするやつがいれば…」 ローブの男が言い終わる前に悪魔は爪を立てていきなり襲ってきた。 グシャァ!! 「俺の様に、悪魔を天敵とするやつもいるんだよ。」 ローブの男は一瞬でも動揺することなく悪魔の首を大剣で斬りとばす。 悪魔は首を飛ばされ、身体は地面に倒れていく。 そしてローブの男は悪魔の胸を貫くと中から黒い物体を取り出しそれを食べた。 「ひぃぃ!」 「安心しろ、俺は悪魔じゃねえ。」 そう言ってローブの男は黒い物体を食べ続けた。 (な、なんなの…この人?あの恐ろしい悪魔をたった一瞬で) 「あの、…すみませんが…」 「何だ?」 「えっと…助けてくださって…ありがとうございました。」 「別に助けた覚えはねえ。これは俺の食事だからな。」 「そうだ、俺の主食は悪魔の心臓だからな。あと人間の心臓と。」 「ひぃっ!」 「大丈夫だ。俺は人間の心臓は食わない主義だ。」 そう言って彼は黒い物体を食べ終わると口の周りを舐めてその場を立ち去ろうとした。 「…あの、待ってください。その、私を家まで送って下さい!そこを真っ直ぐ行くだけでいいのでお願いします!」 「…俺の行き先もこっちだ。好きにしろ。」 ミーナはローブの男について行くことにしすっかり暗くなった道を2人で歩いた。 ローブの男はミーナと歩いてる間喋ることはなく常に無表情だった。 「うぅ…シェスカ…エミー…イルミ…」 「……」 ミーナは殺された友達を思い返し涙を拭きながら歩いていたが男は振り返りもせず黙々と歩く。 他人の感情など自分には関係ないといった感じだった。 しばらく歩いてるとようやくミーナの家に着いた。 「…着いたぞ。」 「あり…がど…ござ…い…ます…」 「いつまで泣いてる。…友達のことは忘れた方がいい。辛いだけだ。」 「忘れられる訳ないでしょ!」 ミーナは男の心無い返しに大声でいった。 「あなたさっきから何なの!?悪魔の心臓食べたり、私が悲しくて泣いても声ひとつかけない。おまけに殺された友達を忘れた方がいいですって?ふざけないでよ!あなたに何が分かるのよ!」 「どーしたのミーナ。夜中に大声出して。」 ミーナの大声で玄関から母親の声が聞こえてきて、はっと我にかえるミーナ。 「…そーだよな。人間は普通、簡単に人のこと忘れられる訳ないよな。悪かった…」 そう言い残し男は左手を前に出すと目の前の空間が広がり、彼はその中に入って姿を消した。 「魔法…使い…?…初めて見た。…だめ…なんか急に頭が…」 ミーナはそのまま意識を失ってしまった。ドグマに言われた通り朝の4時半に起きたグレンは、龍技の真髄の修行をする為にドグマの後ろに付いて歩いていた。早朝に起こされたにも関わらずグレンは眠そうな素振り1つ見せなかった。「初日で眠くはないのか?」「ああ。普段からあまり睡眠を取らない方だ。昨日はゆっくり出来た。」グレンは旅をしてる時もそうであるが、いつ自分の身に危険が起きても対処出来る様に熟睡は基本的にしない。その為、グレンにとっては明朝4時半と早い時間に起こされても睡眠時間的には十分であった。「…そうか。この程度なら生意気な口も普通に叩けるのか。よかろう、遠慮はいらんという事だな。」ドグマは余裕そうなグレンに対し、そう脅しをかける。「(そういえば、昔アガレフに修行を付けてもらう時も同じ様な事を言われたな。)」……思い出すだけでゾッとし、血の気が引いていくのが分かる。あの時は毎日失神するまでボコボコにされていたなぁ。アガレフの修行は本当にキツかった。「よし、着いたぞ。」真っ暗だった為、到着するまでどこを歩いているのか分からなかったが数十分後、ドグマが連れてきた場所は竜の遺跡にある川の上流の方だった。「川で修行するのか?」「そうだな。修行と言えば修行かな。足の裾を捲(まく)れ。今から川で魚を捕まえる。」そしてドグマはズボンの裾を膝上まで捲り上げると片足ずつ川に入っていく。そして川の真ん中辺りまで行くと水面の上で手掴みする様な構えをした。…バシャッ!素早く水面に手を突っ込み一瞬で掬(すく)い上げる。手のひらからはみ出そうな大きさの魚がドグマの手に捉えられ、捉えた魚を竹と藁で編んだ肩掛けの魚籠に入れる。そして再び魚を捕まえる構えに戻った。「…何してる?お前もやらんか。」「あ、ああ。」グレンもドグマと同じ様にズボンを膝上まで捲り上げて川に入ろうと右足を水につける。「うっ!……」あまりの冷たさに声が出てしまうグレン。朝方の気温の低い山奥の川の水。冷たくない訳が無い。「冷たいだろ?因みに魔法は一切使うなよ。修行にならんからな。」「…いや、魔法使わないと見えねえよ。」只でさえ冷た過ぎる水に慣れない中、真っ暗な時間帯で水中の魚が見えない。しかも道具は一切使わず難易度の高い手掴み漁。目を凝らして水面を見るが当然見える訳が無い。グレンは困惑してる中、隣でドグマは流れ
時は遡る事3日前。この日はカイル、エミル、ミーナが東の大国に到着したばかりの日であった。しかし、ここは北の大国と東の大国よりも更に北東部の奥にある場所。そこは一般の人が立ち入ると必ず道に迷うとされる竜爪の錯林(りゅうそうのさくりん)]と呼ばれる森林があった。その森林の中にある地面は深い裂け目や溝が幾筋も走り、獣道や細い道がそれに沿って複雑に分岐している。道はまるで生き物のように折れ曲がり、進んだはずの者を同じ場所へ戻し、方角の感覚を狂わせる。異常な磁場がコンパスの指針も狂わせる為、人の五感や魔力の流れを読めない人が立ち入れば一瞬で迷路へと変わる場所。この森林の中に1人の男が歩いていた。彼の名前は紅の悪魔祓い(デビルブレイカー)グレン。彼はレミールでミーナ達と合流したのだが、そこの国民に国を守る様に提案される。しかし、それを拒否したグレンは国民に危害を加えられた挙句、抵抗すると悪魔と言われて非難された。そしてグレンは自分のせいでミーナに危害が加わると考え、自ら1人になる道を選んだのだ。では何故彼が今この森林に居るのか?(おい、いい加減にしろ!いつまで歩き続けるつもりだ?もうかれこれ3日は歩いてるぞ?)グレンの中に居る悪魔、リフェル。本名強欲のマモンが話し掛ける。グレンはこの竜爪の錯林(りゅうそうのさくりん)に立ち入ってからかれこれ3日は経っていたのだ。「……この森、まるで生きてるみたいに場所が変化してる。ずっと同じところをグルグル回らされているみたいだ。」木々に囲まれて複雑に分岐した細い道を辿っていくも、いつの間にか元来た道に戻っている。更に元来た道をよく確認すると木々の形や生え方、地面の裂け目の形が少し違っていた。(何回この道来るんだよ!もう100回くらいこの光景見てるぞ!)「……いや、違う。よく見てみろ。この地面と木の並び方。少し違って見えないか?」(は?そんなもん覚えてる訳ないだろ!)「最初来た時はこの地面の裂け目は3本だった。だが今は2本。木も1本1本捻れてたのが真っ直ぐになってる。」(…長い事同じ光景を見て疲れてんのか?…いや、待てよ…グレン、何が言いたい?)何かに気付いたリフェルはグレンの考えを聞く事にした。「多分だが俺達が前に進めば進む程、木や道の形が変化して最初来た時と同じ光景を見せられる。けど、地面
悪魔に襲撃されたクレーアタウン。 アスモディウス達との戦闘により、平和だった町の殆どの建物は半壊している。 今すぐ普通の生活に戻れそうには無かった。 ゴウシが東の大国ノームに救助を要請したお陰で、大型のバスの様な魔力式四輪駆動車が到着。 その中から現れたのはノームの救護隊員達であった。 救護隊員達は生き残ったクレーアタウンの人達を誘導し、自分たちが乗ってきた四輪駆動車の中に乗せていく。 クレーアタウンが復興するまでは東の大国が責任を持って町の人達を守るつもりだった。 アガレフという父親を失ったミーナと、母親のリーナ。 リーナはまだ立ち直れず座りながら俯いていた。 無理もない。17年間、愛して待ち続けた夫が目の前で跡形もなく消えたのだ。 簡単に立ち直れる筈が無い。 そんなリーナの側にミーナはつき、一緒に横に座っていた。 一方カイルはエミルの隣に立ち、目の前にはライク、ニケル、フィナが順に並んで2人と対面していた。 「改めてお久しぶりね、カイル君。」 フィナはカイルを見て挨拶した。 さっきはミーナの父親の件もあり、互いにそれどころでは無く再会の挨拶をする間が無かった。 「まさか、フィナさんが2人と一緒に居たなんて知りませんでした。」 カイルはシルフで別れた筈のフィナが、月の民である元盗賊のライクとニケル。2人と行動を共にしてる事に驚いていた。 するとフィナはエミルの方に視線を移す。 「あなたがライクとニケルが言ってたエミルさんね。私はフィナ・プロミネンス。宜しくね。」 「こちらこそです。エミル・ウォーマリンと言います。……ライクとニケルも、久しぶりね。」 少しよそよそしく2人に言うエミル。 一応、ティラーデザートでエミルはライク達に「裏切り者扱い」されて離れる事になった。 当然エミルも言われて当然だと思っている。 カイルと戦ってくれた時は必死だった事もあって、あまり気にしていなかった。 しかし今になって冷静になると、どんな顔をして2人を見れば良いのかエミルは分からなかった。 そんなエミルの悩みを掻き消すかのように2人は笑いながら。 「エミルも、元気そうで何よりだよ。」 「けっ!何辛気くせー顔してんだよ!」 ニケルは笑顔でそう言うと隣のライクは頭に手を組みな
場面は変わりミーナに会わせて欲しいと訴えるリーナを抱えながら、フィナはライク達の後を追っていた。フィナの"陽"の力は短距離で時間をコントロールして戦うのに向いている為、ライク達に比べると遠くへ移動するのはそれ程速くは無かった。それでもフィナの足は早く、時間のコントロールによってミーナ達とは10kmほど離れていたが5分くらいで近くの地点まで辿り着いていた。「リーナさん!もうすぐですからね!」「ありがとうございます!」フィナが走っていると、少し離れた場所で巨大な光の爆発が起こったのが見えた。「あの爆発は一体…」「…ミーナ。」その時は丁度、アスモディウスに魔力操作"極"の力によって光の爆発を起こした時だった。目の前で起きた光の爆発を見たフィナとリーナ。リーナはフィナの背中に抱えられたままミーナの無事を祈り、そのまま彼女達の戦場へと近づいていく。バタッ。ミーナはうつ伏せのまま地面に倒れ、持っていた刀が右手から離れる。刀の刀身が地面に当たると、当たった部分から刀身がバラバラに崩れていった。魔力操作"極"で刀に膨大な魔力を込めた事で、刀に大きな負担が掛かっていたからだ。ミーナのその姿を見たアスモディウスは先程まで息を切らして焦っていたが、この光景を見るや急にニヤケ始めた。「ミーナァァァ!!!」「ミーナちゃん!」エミルとカイルは走りながら倒れたミーナの方へと走る。しかし、魔力も使い果たし体力の限界だったエミルは早く走れない。「クソ!俺も身体が痛くて動けねぇ!」「まずい!あのままじゃ、あの子が殺されてしまう!」ライクとニケルも同様、雷神と風神の反動とカイルから受けたダメージにより今は動ける状態では無い。辛うじて生きながらえたアスモディウスがミーナの1番近くに居た事で、ミーナは絶対絶命のピンチに陥っていた。「…あれぇ?もしかして、動けない感じ?私、ヤバいと思ったけど。」するとアスモディウスは指をパチンと鳴らした。死者蘇生で蘇った死者達を操る合図だ。ミーナの消滅の光はアスモディウスのみを対象にしていた為、死者達はそのまま残っていた。「勝負では私に勝ってたのに、なんとまあ……残念だったね!小娘がぁ!戦場で気絶する方が悪いんだよ!恨むなら、自分の間抜けさを恨みなさい!」「おい、役立たずの屍(しかばね)共!この小娘をグチャグチャにし
するとベルゼバブが出てきた方とは逆の奥の方から別の足音が聞こえてくる。あの時は魔法が使えなかったから分からなかったけど、ただならぬ魔力を感じる。しかし、悪魔の様な不気味な魔力では無い。温かみのある優しい光の様な魔力。その魔力を持った人…人では無いが、ミーナとベルゼバブが居る方へ歩いてきた。「久しいのう。ミーナ。」その姿は以前ミーナと精神世界で対面した時に見せた、ミーナと全く同じ姿の状態のエル(ミカエル)が暗闇から現れた。「あなたはエル…」「な、何で!?何で君が居るの?大天使・ミカエル!」ベルゼバブはミーナの姿をしたミカエルを見て驚きを隠せなかった。普段無邪気に相手を挑発したりするベルゼバブが焦りを感じている。悪魔にとって天使という存在は、嫌悪を抱くと同時に恐怖の対象でもあった。ベルゼバブに視線を移すミカエル。「そなたはベルゼバブ。妾はこのミーナと共存してるのじゃ。…この姿じゃ、ややこしいな。」そう言うとミーナの姿をしたミカエルは変化していく。そしてミカエルは姿を見せた。白銀の長い髪を風に揺らし、透き通る青い瞳で静かに微笑む天使の翼の女性。白を基調とした和の装いには淡い金の煌めきが散り、腰紐と房飾りが上品に揺れる。大きな白い翼を広げたその姿は、神域の気配そのものだった。「それが本当のエルの姿…本当に天使みたいだ…」ミーナは天使の姿のミカエルに驚いていたが、その神々しい姿に見惚れいた。「天使みたいでは無い。妾は天使なのじゃ。」ニコリと微笑みながらミカエルは言った。柔らかいその表情と立ち姿はその名の通り天使と呼ぶに相応しく、一つ一つの言葉や所作が周囲をまるで温かく包み込むかの様である。その温もりは暗闇の精神世界が天国の様に思える程だ。「大天使がミーナの中に居たなんて…まさかとは思うけど、君の力を彼女に貸し与えてたりしないよね?」「妾の"恩恵"の力か?ええ、そうじゃ。妾の力を与えた事でミーナは力を使えるぞ。」何てこった…と言わんばかりの顔をしながらベルゼバブは手を頭に抱えた。何故ベルゼバブが頭を抱えてるのか分からないミーナ。「え、何か不都合な事でもあるの?」「不都合といえば、不都合かな…天使は僕達悪魔の魔力を凌駕するからね。何も対策しなければ、悪魔は天使によって一瞬で消されてしまう。」ベルゼバブの言う通り、一度
ミーナ達3人が戦っていたその頃。東の大国で元八握剣(やつかのつるぎ)であったギンジはミーナの母であるリーナを連れながら、他にも生き残ってるであろうクレーアタウンの市民を探していた。生き残っていた市民は結構居た為、全員助けに来てくれたギンジの後ろをゾロゾロと歩いて着いて行く。そんな中で思わぬ人物に出会った。その人はギンジにとってあまり会いたく無い人物。「ギンジ!お前、こっちに来てたのか!?」の太く低い声の主である彼の名前はゴウシ。八握剣(やつかのつるぎ)の土刃(どじん)と呼ばれる男である。見た目年齢が30代後半は過ぎてるであろうゴウシは、ベリーショートの茶髪に整えられた茶髭。八握剣のバンジョウやスイゲツと同じ侍の様な服装をしているが、体型はガタイが良いと言うよりも巨漢に近かった。丸太の様に太い腕に、武器は刀では無く斧を背中に担いでいた。「ゴウシ…そういえばスイゲツの奴が言ってたな。」ギンジはゴウシの事を嫌そうな目で見ながら東の大国ノームでスイゲツが言っていた事を思い出した。「はい!先程八握剣の土刃、ゴウシ様から連絡がありまして。最近東の近隣の国が悪魔に襲撃されているとの事です!」スイゲツがあの道場で報告した内容の発信源は確かゴウシであった。市民を助ける為の人手が足りない現状ではとても頼りになる存在であるが、国を出るつもりのギンジにとっては不都合でしか無かった。どうせこいつも八握剣(やつかのつるぎ)に戻れって言うに違いない。「お前が居てくれて良かった!ギンジ、俺もこの町の人達を助けたい!だから協力させてくれ!」しかし、ゴウシから出てきた発言はギンジの予想とは違っていた。「何だ、俺の事を引き留めようとしないのか?」「いや、今はそんな場合ではないだろう?そりゃ、お前には戻ってきて欲しいが、それよりも先に今はやるべき事があるだろ。」ゴウシは八握剣の中でも正義感が人一倍強く、真っ直ぐな性格であった。その正義感に加えて人々の為に今自分に何が出来るのか、常に考えて行動出来る人である。しかし、不可解な事が一つあった。「確かゴウシが居る場所はここよりも数km離れていた場所だ。どうやってここまで来た?」高速移動や転移魔法を使えないゴウシには一瞬でここまで来る移動手段が無かった筈だ。ーーどうやってここまで来た?こいつはこの町には居ないと思







